考察:Summicron / NIKKOR 5cm f2 被写界深度の違いとレンズ構成

3回にわたりSummicron 5cm f2 1stとNIKKOR H·C 5cm f2の描写比較をしてきましたが、今回はボケ量=被写界深度の違いについて考察したいと思います。(リンク:比較 Part1Part2Part3

同一の焦点距離・開放絞り値・マウントのレンズで、撮影時も被写体までの距離・絞り値が同一であれば被写界深度もほぼ同一になるはずですが、Part1で掲載した画像のようにSummicronとNIKKORは被写界深度が異なる場合があります。

Part1で掲載した画像の再掲、24-31のボケ方が異なります。

Summicron / NIKKORともに実際の焦点距離は表記されている”5cm”ではないのですが、焦点距離が多少異なるだけでこれほど差が生じるものとは考えられません。

なぜこのような差が生じるかを調べているうちに、SummicronとNIKKORとで絞りの位置が異なる事に気が付きました。

Summicron / NIKKORのレンズ構成図をおよその位置に重ねてみると、NIKKORは絞りの位置(赤い線)が像面に近い構成になっています。

では、なぜ絞りの位置が変わると被写界深度に違いが生じるのか。

私は光学の専門家ではなく素人考えに留まりますが、方々調べてみて下図のようになっているのではないかと推察しました。

まず、合焦位置・許容錯乱円径(ピントが合っていると見なせる最大の円:許容錯乱円の大きさ)を同一とします。

同一のレンズで絞りのみを変更した場合、絞り径が狭くなると許容錯乱円内に収まる光線の角度が小さくなり、焦点深度(像面側の結像範囲)が深くなり、同じく被写界深度も深くなります。(Fig.1, Fig.2)

次に、絞りの開口径はそのままで絞りの位置だけを像面側へ後退させると、入射瞳(光学系に入射する光の入口となる見かけ上の絞り)の位置が変わり、焦点深度・被写界深度が浅くなります。(Fig.3)

同じ構成のままで絞りと合焦位置を結ぶ線を引き直してみると、Fig.1に比べて合焦位置に向かう光線(Fig.4 緑の線)の角度が変化して許容錯乱円内に収まる範囲が狭くなる → 被写界深度・焦点深度が浅くなる、ということのようです。

結果に合わせて理屈を考えているので光学的な正確さにかける点は否定できません。あくまで参考ということで。

更に絞りと像面の間の距離が被写界深度に影響するとなると

”Nikon SマウントのNIKKOR 5cmとSummicron 5cmを比較したらどのような結果となるか”

が気になります。

L39マウント/Leica Mマウントに比べてSマウントはフランジバックが4mmほど長いため、同じレンズ構成のまま絞りと像面の間の距離が長くなり、Summicronと近しい距離に絞りが位置することとなります。

つまり、SマウントのNIKKOR 5cm f2はSummicron 5cmと同等、もしくはそれ以上の解像感があるのかもしれません。

試してみたい気もしますが、同等コンディションのSマウントレンズを購入して、さらにマウントアダプターも用意してというのはなかなか難しい…

この比較はSummicron 5cmとSマウントNIKKOR 5cm f2をお持ちの方にお任せしたいと思います。

さて、長々と語ってきたSummicronとNIKKORの比較は今回で終了です。

オーバーホールに出していたNikon Fが戻ってくる頃ですので、次回はオーバーホール後の所感について掲載してみたいと思います。

目次