カメラレビュー: 意外とマイナー機種のLeica M-A (Typ127)  – 前編

とは言っても、今でも現行機種で珍しい訳ではありませんが… 発売から10年、ついに倍近い定価になってしまいました。

中古品の相場も高くなりましたが、これは人気機種やレアと言うよりは定価高騰によるものでしょう。

各種ライカのシリアルナンバーと製造年を掲載している海外のWebサイトがありまして、それによればM-Aの通常モデルは現時点では2022年の製造ロットが最新、限定モデル込みでもM-Aは3230台しか製造されていないとのこと。

M6(2022)は発売から2年で1600台ほど、MPは2002-2023の約20年で26500台ほどとのことですから、M-AはMDやバルナックIIIc Kと言った特殊モデル並の台数しか製造されていません。

まぁ、当然と言えば当然ですよね。

2014年当時の定価でも、露出計すらないフィルムカメラとNikon D4sがほぼ同じ、よほどの病気でないと購入はしないでしょう。

フィルムのM型ライカが使いたいと思うなら、程度の良い中古か露出計があるMP(今ならM6も)を新品で購入するのが妥当な選択なのですが、私は完治したはずのライカウイルスが再発し重症化してしまいました。

では何故、マイナー機種のM-Aを購入するに至ったのか。

  1. 電子部品がない機械式が欲しい。(M5,M6,M7,MPは除外)
  2. 35mmレンズは使いたい。(M3も除外)
  3. セルフタイマーもいらない。(M4も除外)
  4. 昔使っていたM4-Pの買い戻しは避けたい。(フレーム以外の差がないM4-2も除外)

と贅沢な消去法で選定してゆくと、残った選択肢はM2セルフタイマーなしとM-A。

(厳密に言えばストロボシンクロの配線はありますが、すぐ直りそうな部品ですから。)

フィルムカウンターは自動リセットが良い、ラピッドローディングが良いだの欲が出て、結果、私にはM-Aが最適と相成りました。

M2セルフタイマーなしとM-Aでは製造されてからの年数が少なくとも50年は違いますから、ファインダーを始めとする各所の劣化を懸念したのもあります。

カラーは、レトロなシルバークロームにしました。

ブラッククロームも捨てがたいのですが、シルバーはフィルム機らしさがあってよいかなぁと。

同価格でシルバーとブラックの選択ができるのも、現行品のメリットです。

シルバークロームの質感は非常に高く、1954年製のLeitzレンズのシルバークロームとほぼ同質と感じます。

でありながら、最近のシルバークロームのレンズともマッチする色合いのため、新旧いずれのレンズを装着しても違和感がありません。

ただ、ビンテージのMマウントレンズはブラックの方が多く流通していて、シルバーはプレミア価格となっているもの(例:Summicron 35mm 7 elements)も見受けますから、使いたいレンズが決まっている方はレンズがシルバーでもブラックでも合うブラックボティーの方がよろしいように思います。

なお、M-A本体のサイズは約138 × 38 × 77mm(幅×奥行×高さ)、M3・M2・M4の約138 × 33.5 × 77mm(幅×奥行×高さ)とのことで、数値上は奥行で約4.5mmの差異があるものの、実際にはM3・M2・M4と同一寸法で、レザーケースなどを共用することができます。

M-Aの本体各所を実際に計測してみたところ、奥行の約38mmというのは奥行方向最大の寸法であって、フレームセレクタレバーの前面とシンクロソケット後端、またはファインダー接眼部との間(下図の青矢印)を示しているようです。

(上画は、Leica公式の取扱説明書PDFから)

これに対し、M3などの奥行約33.5mmというのはトップカバーの上部の奥行を示しているようで、ここはM-Aもほぼ同じサイズです。厳密には約33.8mmですので、0.3mmファインダー窓の取り付け方の違いか材質の違いによるものと推察されます。

この微妙な厚さが視覚的にも影響しているのでしょうか、M-Aのトッププレート左上の角(リワインドノブ側の前面角)はM2に比べてやや角張っているように見えます。

”ボティは職人の手作業による金属製”、よくまあこんな繊細な加工ができるものです。

以上、製造台数・外観についてのレビューでした。

1回の投稿にまとめると長くなりますので、使用感などについては次回に続きます。

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